国産蝶類標本写真館

ホソオチョウ 

Sericinus montela

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山梨県産 ♂ 表面
山梨県産 ♂ 裏面
山梨県産 ♀ 表面
山梨県産 ♀ 裏面

分布:本州、九州

生態:多化性で、成虫は年に数回発生する。成虫は食草であるウマノスズクサの生える河川敷、路傍、林縁などの日当たりがいい場所をゆっくりフワフワと飛ぶ。♀は食草の葉裏にまとめて産卵する。

食草:ウマノスズクサ

 春型は夏型に比べて小型になり、夏型の尾状突起は長くなる。夏型は特に全体が黒味がかる。画像は夏型。

 本来は日本に分布する種ではない。最初に確認されたのは1978年の東京都で、数年のうちに中央本線沿いに山梨県にまで局地的に分布を広げた。1990年代になると京都府、岐阜県、栃木県、宮城県、福岡県など地理的に離れた地域に生息が確認されている。本種は飛翔能力が低いため、現在までに生息が確認されたことのある地域は、違法な放蝶といった人為的手段で分布を広げたものと考えられている。
 このように自然を理解できない偽善者により人為的に分布を広げてしまった種だが、本来同じ食草を食べているジャコウアゲハなどの在来種と競合している地域もあるようだ。
 外来種を放蝶してしまう行為は、犯罪行為以外の何の行為でもないことを深く肝に銘じてもらいたい。最初に放蝶した自然に無知な人間の罪は最も深く大きいが、綺麗な蝶だからといって身近に放蝶してしまうような偽善者も同じような犯罪者だ。軽い気持ちで行って良い行為ではない。