国産蝶類標本写真館

カラフトセセリ 

Thymelicus lineola

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北海道産♂ 表面
北海道産♂ 裏面

分布:北海道(紋別郡周辺)。

生態:年1回、7月上旬から8月上旬に現れる。成虫は明るい草原や樹林周辺の草地に棲息し、敏速に飛翔する。アザミ類、シロツメクサなどの花で吸蜜する。

食草:イネ科のチモシー、ケンタッキーブルーグラス、オーチャードグラスなどのイネ科各種。

 以前は見られなかった種。牧草の害虫で、外国から輸入した牧草などの中に卵があって増えてしまったようだ。
 ♀の成虫は食草の茎の根元に産卵し、産卵された卵はそのまま卵態で越冬して、翌春5〜6月にかけて幼虫がイネ科植物の葉を食害する。幼虫は葉を縦方向に二つ折りにして数カ所を糸でつづり合わせた中に潜み、葉を葉縁から縦長にえぐり取るように食害する。老熟した幼虫はつづり合わせた葉の中で蛹化し、7月ころに羽化する。
 小型のセセリチョウであることと、このような生活史から、夏季に数回刈り取られる牧草や、秋または春に播種するムギ類に対して、激しい被害を及ぼす可能性はほとんどなさそうだ。