国産蝶類標本写真館

タイワンモンシロチョウ 

Pieris canidia

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対馬産 夏型♀ 表面
対馬産 夏型♀ 裏面

分布:対馬

生態:3月下旬から現れ、年5〜6回発生する。成虫は山間部の渓流沿いを好み、オカトラノオなどの花で吸蜜する。

食草:ミチバタガラシ、タネツケバナなどの野生アブラナ科

 国内では対馬のみに分布する。モンシロチョウとよく似ているが、後翅外縁の翅脈端に三角形状の黒紋があることで区別できる。
 モンシロチョウと同じように見えるが、生態はまったく異なる。樹林があるところに好んで生息し、渓流などの樹林近くの木漏れ日が当たるような環境に多い。
 私が対馬に行った時はタイワンモンシロチョウは少ない時期だったのか、ほとんど見ることができなかった。唯一採集できたのは画像の個体。真夏は個体数が少なくなるようだ。

 残念ながら近年では見られなくなってしまった。環境が大きく変わってしまった場所もあるが、多くの場所でシカの食害により食草が食べられてしまったことが原因のようだ。対馬特産のツシマウラボシシジミも減少が著しい。行政側は有名な昆虫は採集禁止の網をかぶせるが、この種のようなマイナーな昆虫には振り向くこともない。本当の自然保護はこのような種が存続し、多様性が保たれることだと思うが、残念ながらそのような自然保護がされることはないのは行政側の無知、怠慢以外の何者でもない。残念だが対馬でタイワンモンシロチョウが見られることはなさそうだ。