国産蝶類標本写真館

ゴマシジミ 

Maculinea teleius

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北海道東部産 表面
北海道東部産 表面
山梨県北巨摩郡産 表面
山梨県北巨摩郡産 裏面
 
分布:北海道(利尻島、礼文島含む)、本州、九州。北海道では分布は広い。本州の分布は東北、関東、中部、中国地方に分布し、九州では阿蘇、九重の山地帯に分布する。

生態:年1回。7月から8月に発生する。成虫は泥炭湿地や火山性草原に多く、場所によっては堤防や線路脇などにも生息する。飛び方は緩やかで、各種の花で吸蜜する。

食草:初齢から4齢初期まではワレモコウ、ナガボノシロワレモコウ、カライトソウ。4齢中期以降はシワクシケアリの巣内でアリの幼虫を食べる。

 この蝶も変わった食性を持っている。母蝶はワレモコウの花穂に産卵し、孵化した幼虫はしばらくの間花穂を食べる。ある程度成長した幼虫はアリを探すため地上におりる。アリが見つかると蜜線から蜜を出し、アリにくわえられて巣内に入り幼虫を食べるようになる。幼虫を食べていても、アリから攻撃されることはない様だ。
 この蝶も近年は少なくなった。以前は山梨の韮崎あたりでも、少ないながら採集できた場所は多かった。本州では元々個体数が多い蝶ではなくたまに見かける程度だったが、人家周辺ではほとんど見られなくなってしまった。それでも山に入れば見られる場所は多く、独特の模様が見られるのは嬉しい。
 ゴマシジミは地域変異も個体変異も大きいが、地域によってある程度の傾向がある。亜種もいくつか命名されているが、変異は連続的で区別がつかない個体も多い。ゴマシジミはヨーロッパから日本まで広い地域に分布している種で、分布域の末端の日本の個体群だけ見て亜種を細かく分けることは名誉欲に駆られた行為としか思えない。