国産蝶類標本写真館

クロマダラソテツシジミ 

Chilades pandava

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多良間島産♂ 表面
多良間島産♂ 裏面
多良間島産♀ 表面
多良間島産♀ 裏面
 
分布:本州(千葉以西の太平洋沿岸)四国、九州、南西諸島。南西諸島では土着したようだ。九州以北は迷蝶で、冬季に野外では死滅するようだ。

生態:多化性で八重山諸島では通年発生している。沖縄諸島から奄美諸島では春の個体数は少ない。成虫は食草周辺の明るい環境に多く、各種の花で吸蜜する。

食草:ソテツ。

 以前は沖縄本島や与那国島などで一時的に見られた迷蝶だが、2006年には石垣島、西表島などで発生し、2007年には沖縄本島から鹿児島県まで分布を広げ、秋には関西でも発生するようになった。2009年には東京都や千葉県でも見られた。
 食草はソテツの新芽で、海外でもソテツの害虫とされている。産卵から羽化までの期間が2週間程度で、ソテツの新芽があれば爆発的に増えていく。国内でも天敵がほとんどいないため、ソテツの新芽で多数の個体が発生する。そのため、小型のシジミチョウでも食害するソテツはかなりの量になり、ソテツが枯れ死することもある。
 1966年から67年にこの種ではないソテツシジミ(Chilades kiamurae)が発生したことがある。その当時は八重山諸島の竹富島と黒島で大発生しただけだったが、67年の末になって姿を消してしてしまった。食草のソテツの新芽を食べつくしてしまったためとも言われるが、本当の原因は不明だ。この蝶のことを聞いて、その頃のことを思い出した古くからの蝶屋さんも多いことと思う。