国産蝶類標本写真館

オオルリシジミ 

Shijimiaeoides divina

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新潟県産 ♂表面
新潟県産 ♂裏面
新潟県産 ♀表面
新潟県産 ♀裏面
 
分布:本州(東北地方から中部地方)、九州(阿蘇、九重の高原地帯)。

生態:九州では5月上旬から発生し、5月中旬が最盛期、本州で社5月下旬から6月中旬に発生する。成虫は日当たりが良い火山の裾野や山地の草原に多いが、河原や牧場、堤防などにも見られる。緩やかに飛翔し、クララなどの花で吸蜜する。

食草:マメ科のクララ。

 クララのみを食べる蝶。クララは齧るとくらくらするほど苦いためこの名がつけられた。そのため牛も食べないため、牧場で発生することもある。
 かつては青森県を北限として、岩手県、福島県、新潟県、長野県、群馬県、大分県、熊本県などに生息していた。近年ではいずれの地域でも絶滅もしくは激減し、現在では新潟県、長野県のごく限られた地域と熊本県(阿蘇山周辺)にのみ産地が知られている。
 この激減の要因としては、生息地が草原や田園、河川の堤防のような環境であることから、耕地放棄による草の繁茂、河川改修による棲息地の消滅、宅地化等の開発や、農薬散布による影響などが考えられ、これは草原性の種にも共通した傾向だ。
 本来長野県産の♀は、熊本県産に比べて翅表の黒色斑が発達しないが、野外でほとんど絶滅した後、九州産の飼育個体を放したりした影響もあるのか、最近では長野県産でも大きな黒い斑紋がある個体が多く、熊本産と区別がつかない個体も多い。保護活動の成果があって、現在でもオオルリシジミが見られるが、ちょっと複雑な気がする。