国産甲虫標本写真館

アカモンオオモモブトシデムシ

Diamesu osculans (Vigors, 1825)

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左 ♂ 右♀ ラオス産

分布:八重山諸島(石垣島)。日本から近い海外では台湾に分布する。アカモンオオモモブトシデムシは東洋熱帶に広く分布し , Diamesu属は本種の他に、台湾特産のフタモンオオモモプトシデムシ(別名ホシモモプトシデムシ) D. bimaculatusが知られるだけだ。

体長:25〜45mm

生態:国内の分布では八重山諸島となっている書籍が多いが、実際には石垣島で数例の採集記録があるだけだ。採集記録を見ると死骸を拾った採集例もあるが、灯火による採集例もある。採集時期は春季から秋季まで採集されているので、多化性のようだ。
 海外では
ショクダイオオコンニャクに飛来するアカモンオオモモブトシデムシが知られているが、匂いにひかれて飛来しているらしいが、匂いが飛来する要因ならば腐肉トラップにも飛来するはずで、トラップを広範囲に掛けてみれば採集できるかもしれない。

 今までの採集例はオモト岳の山頂付近でも採集されているので、なるべく自然林に近い方が良いのかもしれない。石垣島に生息するほ乳類は大型の哺乳類ではリュウキュウイノシシが知られているが、国内のシデムシの主食であるネズミ類は分布していない。死んだリュウキュウイノシシにも来ているだろうが、大型のカメやヘビの死体にも来ていると思う。鳥類は多くの種類が生息しているため、鳥類の死体にも多くの個体が飛来しているはずだ。
 トラップに使用する肉は生息環境を考えれば鶏肉が最適なはずで、多様なエサを用意できるならば魚類も試してみる価値はある。トラップをかける環境は自然林に近いオモト岳やバンナ岳の登山道沿いで十分と思う。それ以外の場所でも北部の野底岳や安良岳にも分布しているはずだ。

 いずれにしても個体数はそれほど多くななさそうで、局地的な分布をしているはずだ。石垣島に採集に行かれる方はぜひトラップの採集も試してもらいたい。そして首尾よく採集できたら採集記録として発表してください。

 今までの採集記録は石垣島だが、西表島にも分布していると考えるのは自然のような気がする。自然環境は西表島の方が残っているため、トラップをかける場所がよければ西表島の方が採集の可能性は高いように感じる。西表島に行かれる方も、ぜひトラップ採集を試みると面白い採集ができるかもしれない。

 そんな種なので残念ながら石垣島産の標本は持っていません。画像の個体はラオスで採集されたDiamesu属の個体。台湾以外でDiamesu属はアカモンオオモモブトシデムシしか分布していないので、この個体がアカモンオオモモブトシデムシになる。