国産甲虫標本写真館
コクロシデムシ
Ptomascopu morio Kraatz, 1877

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左♂ 右♀ ともに千葉県市原市産 |
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コクロシデムシの雌雄判別方法 |
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♂は頭楯が広範囲に橙色で,♀は頭楯の先端部のみ僅かに橙色になる. ♂の前符節は♀に比べ外方に盤状に膨大する |
分布:北海道、本州、伊豆諸島、佐渡、四国、九州。
体長:8〜15mm
雌雄の区別:♂は頭楯が広範囲に橙色で,♀は頭楯の先端部のみ僅かに橙色になる. ♂の前符節は♀に比べ外方に盤状に膨大する
生態:一見ハネカクシのように見えるが、シデムシの仲間。平野部から山地にかけて普通に見られ、動物の死体に集まる。
年一回の発生のようで、夏季に現れる。広く分布している種で、明るい環境から樹林帯まで生息環境は広い。
コクロシデムシは死体近くの土中に卵を産むだけで繁殖を行っているといわれているが、それにしては幼虫を見る機会はほとんどない。
もしかしたらこの種の幼虫はモンシデムシなどが作った育児用の巣に托卵するか、巣の近くに潜み、エサを盗み取るような習性なのかもしれない。体形が他のシデムシと全く異なるのも、生態が他のシデムシと違っている証拠なのかもしれない。
上翅が小さいためあまり飛ばないように見えるが、実際には飛翔性は高く、すぐに飛んで逃げようとする。動作も非常に活発で、シデムシには見えない。
鞘翅はほとんどの個体が黒色だが、地域によっては暗赤色の斑紋を持つ個体が採集されることがある。関東地方の多摩川水系や相模川水系の流域で採集されているが、他の地域でも採集される可能性がある。暗赤紋の現れる個体は一割以下のようなので、採集した個体を注意してみてほしい。油の出た個体などは暗赤紋は消えてしまうので注意が必要だ。
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