国産甲虫標本写真館

オオヒラタシデムシ

Eusilph japonica (Motshulsky, 1860)

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上段 左♂ 右♀ ともに北海道夕張郡産
下段 左♂ 右♀ ともに千葉県市原市産
 北海道夕張産と千葉県市原産を比べると北海道産の方が黒味が強い。千葉県産は茶色がかって見える。また、上翅の形もかなり違って見える。人気がないオオヒラタシデムシだが、各地のオオヒラタシデムシは調べてみると思ったより変異はあるようだ。
 

北海道夕張郡、同一産地のヒラタシデムシとオオヒラタシデムシ
 北海道ではオオヒラタシデムシとヒラタシデムシが同所に分布している。区別はそれほど難しくないので、下記を参考に同定してください。
左 ヒラタシデムシ♂ 右 オオヒラタシデムシ♂ ともに北海道夕張郡産
 
左 ヒラタシデムシ♀ 右 オオヒラタシデムシ♀ ともに北海道夕張郡産
 
 ヒラタシデムシは黒色で上翅はやや唐金色を帯びる。オオヒラタシデムシは黒色で上翅はやや青みを帯びる。
 ヒラタシデムシの上翅は下膨れ状になる。オオヒラタシデムシの上翅は中央付近まで左右ほぼ平行。
 オオヒラタシデムシの前胸背板正中線上の縦溝は浅いが明瞭、ヒラタシデムシの前胸背板正中線上の縦溝は目立たない。
 

オオヒラタシデムシ雌雄の区別方法
 左前符節の比較。左が♂、前符節が広い。右♀、前符節が細い。
 
 翅端の比較。左♂、翅端がまるい。右♀、翅端が突出する。
 

分布:北海道、本州、佐渡、四国、九州、伊豆諸島。

体長:18〜23mm

雌雄の区別:♂は前符節が広く,翅端がまるい。♀は前符節が細く,翅端が突出する

生態:平地から山地まで普通に見られるが、人家周辺の明るい二次林に多く、公園や人家周辺でも見つかる。
 地表で暮らし、生き物の死骸やゴミ溜めに集まる。死体や腐敗物、キノコなどにも来るが、特にミミズの死骸など柔らかいものを好む。

 メスは肉団子を地中に埋め産卵するが、幼虫が全期間成長できる量は用意しないようで、幼虫期間の中期以降は地表を徘徊しミミズなどを探す。

 盛夏から晩夏にかけて個体数が多くなる。晩夏になると林床や道路上を多数の幼虫が徘徊する姿を見ることが多い。


 ヒラタシデムシ類の多くの種は、交尾の際♂が♀の片方の触角を強く噛んで引っ張る行動をする。その際、触角が噛み切られてしまうこともかなりの割合で起こりる。交尾の際に逃げないようにする行動だと思うが、触角を切ってしまっては♀の後の行動に不利だと思うがそんなことはないんだろうか。