国産甲虫標本写真館

ツノグロモンシデムシ

Nicrophoru vespilloides (Herbst, 1784)

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ツノグロモンシデムシ
上段 左♂ 右♀ ともに北海道中川郡産
下段 左♂ 山梨県中巨摩郡産  右♀ 長野県木曽郡産
 
 北海道産のツノグロモンシデムシの帯紋は本州産のツノグロモンシデムシと比較すると幅が狭く、上翅端の黒色部もより広い。帯紋の形も異なる等、結構変異はあるようだ。

分布:北海道、本州(中部以北の高地)。

体長:10〜20mm

雌雄の区別:♂は頭部が♀に比べて大きく,側頭が強く後方に張り出す。♂は頭楯が広範囲に赤く,♀は頭楯の先端部のみ僅かに赤くなる。.♂の前符節は♀に比べ外方に盤状に膨大する。

生態:本州中部ではブナ帯以上の山地に分布する。北海道でも山地帯に多いようだ。他のシデムシと同様に動物の死体に集まる。
 
 ツノグロモンシデムシは触覚が全て黒色になる。他のモンシデムシは橙色の部分がある。

 モンシデムシ類は親が子供の保護をし、子育てを行う。土の中に作った巣で、幼虫が生まれてからの餌やりなどの世話は、♀はほとんどの場合幼虫が蛹になるまで行う。

 ツノグロモンシデムシの研究例で、死体の大きさによっては、産卵数が多すぎることがある。その際は成長できる頭数になるように、♀は幼虫を殺してしまうようだ。
 また、雌雄が子育てをしている最中に、別の♂が巣の乗っ取りにやって来ることがある。そのとき、もとからいた♂が追い出されると、新たに♀を獲得した♂は、前の♂の子である幼虫を皆殺しにする。そして、改めて交尾をし自分の子供を残す。
 ♂は適当なところで幼虫の世話を止めて出て行くことが多いようだが、他の♂による巣の乗っ取りを防ぐ意味で、幼虫がある程度まで成長するまでは巣にとどまるようだ。