国産甲虫標本写真館

ヨツボシモンシデムシ

Nicrophoru quadripunctatus Kraatz, 1897

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左♂ 右♀ ともに千葉県千葉市産
 

ヨツボシモンシデムシの大きさ比較。 
 ヒラタシデムシなどのシデムシ亜科に属する種の体格差はあまりないが、モンシデムシ亜科に属する種の体格差はかなり大きい。
 体長の差は約2倍、体積だと4倍の差があることになる。これだけの体格差があると小型の個体が大型の個体に闘争で勝てる可能性はまずない。
左 千葉県千葉市産 右 東京都奥多摩町産 ともに♂
 

各地のヨツボシモンシデムシ
上段左から 北海道夕張郡産 青森県上北郡産 長野県伊那市産
中段左から 山梨県北杜市産 千葉県千葉市産 東京都奥多摩町
下段左から 高知県高岡郡産 熊本県阿蘇郡産 長崎県対馬市産
 各地のヨツボシモンシデムシの比較。個体変異もある程度ある種なので一概には言えないが、帯紋中の4黒点は西日本の個体の方が小さくなる傾向がある。
 

分布:北海道、本州、佐渡、四国、九州、対馬、屋久島。

体長:13〜21mm

雌雄の区別:♂は頭部が♀に比べて大きく,側頭が強く後方に張り出す。♂は頭楯が広範囲に赤く,♀は頭楯の先端部のみ僅かに赤くなる。.♂の前符節は♀に比べ外方に盤状に膨大する。

生態:帯紋中には常に4黒点がある。モンシデムシの仲間では最も普通に見られる種で、平野部から山地まで広く分布する。生息環境も日当たりが良い草地から樹林内まで各種の環境に分布する。

 
繁殖に適した死体というのはそうたくさんあるわけではなく、良好な死体をめぐる激しい競争が起こる。
 その際は体が大きな個体が有利なのは言うまでもない。そのため体の小さな個体が子孫を残すのは簡単ではない。
 餌をめぐる競争で負けた敗者の取る行動は♀の場合種内托卵、♂の場合は闘いを避けながらもなわばりの中に潜み、あわよくば♀を奪って交尾しようとするサテライト行動とをとる。
 モンシデムシ類の個体の大きさの差はかなり大きく、小さな個体はスニーキングや種内托卵でもしない限り子孫を残せない。

 モンシデムシ類の親は自分の子供と他個体、他種のモンシデムシ類幼虫を区別することが出来ないようだ。
 自分の子供と他の個体の子供を区別するのは産卵からの時間のようで、自分の産卵した卵が孵化する20時間以上前ではすべての子供を殺す。それから自分の子供の孵化時間が近くなるに従い、子殺しの割合は減ってゆき、0〜8時間前だとすべてが受け入れられてしまう。托卵する他の♀は、同じ時間で孵化するタイミングで産卵をすれば、すべての子供が自分の手を煩わすことなく育てられることになる。