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発酵マット作成法 

家庭編

 発酵の原理は読んでいただけただろうか。内容が理解できればマット作成の成功率は著しく向上するし、これからの文は読む必要ないかもしれない。発酵マットは比較的安価で作成が可能なため自作のマットを作っている方も多いと思う。しかし、小さな容器で書籍に書いてあるように作っただけでは成功した発酵マットとはいえない。これから紹介するマット作成方法はいくつかの機材が必要になるが、良いマットを作るためにできればあったほうが良いものばかりとなっています。あとは作成方法を工夫することで、良いマットができるはずです。うまく発酵させたマットは、クワガタでは大型の個体が羽化するし、エサとして使えるクワガタの応用範囲が非常に広いマットです。この作成方法を参考にして大型のクワガタを羽化させてください。

1.用意するもの
 マット
 小麦粉など
 水(水道水で十分)
 衣装ケース(一番大型のもの)
 断熱材
 ホットカーペット、または電気毛布などの発熱するもの
 金魚用エアーポンプまたはそれに類するもの
 電源オンオフできるタイマー
 エアーポンプ用チューブ必要量

2.準備
 ホットカーペットや電気毛布などの発熱する電気器具は温度調整ができるもので、電気の知識がある方はヒーターから自作しても良い。いずれにしても火災等には十分に注意していただきたい。
 大型の衣装ケースの外側に断熱材を巻くが、ホットカーペットや電気毛布などで加熱する部分は断熱材をまかない。断熱材は衣装ケースに密着させ放熱を防ぐ。ヒーターを巻く場合は衣装ケースに直接巻いて、外側を断熱材で巻いてしまう。くれぐれも温度上昇による火災には注意していただきたい。私は一人用の小さなホットカーペットを使用しているが、衣装ケースの底面は何もせずそのままにして、側面を断熱材で覆っている。蓋の部分も同様に断熱材で覆う。次にケースの側面にエアーチューブを通す穴を空ける。これで準備は完了だ。

3.マット作成
 ここからマットの作成になる。マットは好みのマットを使っていただいてかまわないが、容量がわかるようにここではミタニ製のクヌギ大王を使用する。
 クヌギ大王は容量が一袋で5リットルになっている。このクヌギ大王を10袋用意する。完全に乾燥した状態ではなく、袋によって中身が少しずつばらつきがあるが、基材のためあまり気にする必要はない。このクヌギ大王1袋は乾燥重量では0.9kgになる。10袋では約9kgになる。マットの含水率を50%強にするために5リットル必要になるが、元々のマットには水分が含まれているため、少し面倒だが10袋の重量を測っておく。水分量50%強にするために必要な総重量は14kgになるため、14kgからマット10袋分の重量を引いた分が加える水分量になる。
 小麦粉などの有機物は何を使うか意見が分かれるところだが、C/N比で見ると小麦粉は15程度になる。発酵に必要なC/N比は十分に満たしているため、このまま使用してかまわない。加える量は発熱させる温度により異なるが、夏場は20%程度、冬場は30%程度必要だ。20%では約3kg、30%では約4kg程度だ。
 では、実際の作成に移ろう。いっぺんに作るとうまく攪拌できないので、半分ずつ作成する。まずクヌギ大王5袋を衣装ケースに開ける。そこに小麦粉半分をいれよく攪拌する。このとき小麦粉が片寄ると発酵がうまくいかない部分ができてしまうため、十分に攪拌する。その後攪拌しながら水を加える。水分も均一になるようによくかき混ぜること。このときに水分量を覚えておけばその後は感覚で水分量がわかるようになる。残りの半分も同じように小麦粉と水を加え同じ衣装ケースに入れる。そしてマットの底にエアーポンプ用のチューブを入れる。チューブはできれば数箇所にいれ、十分に空気が回るようにする。チューブは途中で分岐してもかまわないし、ポンプを数台使ってもかまわない。ポンプをタイマーにつないでセットするが、ポンプはずっと動かす必要はなく、1時間に5分程度動くようにセットする。マットを入れた衣装ケースをホットカーペットの上においてカーペットのスイッチを入れればとりあえずセット終了だ。
 マットはすぐに熱を持ち始め翌日には相当温度が高くなっている。そのままの状態で1週間置いておき、1週間後にマットを攪拌する。このとき、水分の偏りがないようによく混ぜること。また、発酵の初期はマットがブロック状に固まってしまう。このブロックは崩して、ブロックになっていなかった部分と混ぜ合わせ再度最初と同じようにセットする。水分が不足しているようだったら徐々に水分を加えながら攪拌する。この後は一度温度が上がるが、最初のときのように高温にはならない。マットのセットから20日間ぐらいは発酵による匂いが強く発生する。この匂いは抑えることはできないため、匂いがしても大丈夫な場所で作成することをお勧めする。
 最初のマット攪拌後1週間たったらまた攪拌の作業を行う。このときはまだ相当熱を持っていて、ブロック状の部分も見られるはずだ。ブロックは崩してよく攪拌し、また同じようにセットする。
 また1週間たったら同じように攪拌する。この頃はブロックがほとんどなくなり、マットがさらさらした状態になり、色もだいぶ黒味を帯びているはずだ。その後1週間たち、色が黒くさらさらした状態になり、匂いもなくなったら発酵マットはほぼ出来上がりだ。

4.良いマットか良くないマットか見分け方
 作成したマットが良いマットか良くないマットかの見分け方だが、発酵過程をよく見ておけばわかる。見分ける方法だが、マットを最初にセットして5日目くらいに温度を測ってみる。このときに中心部の温度が高い部分は55〜60度くらいになっていないとうまくいかない。温度計がない場合は最初の攪拌のときにマットがブロック状になり、ブロックの中が触っていられないくらい温度が高くなっていることで判別がつく。このときまでに温度が上がらないマットはうまくいかないマットだ。温度が上がらない原因は、水分量が多いか通気がなくマット内が酸欠になっているか、どちらかが原因であることが多い。また、容器が小さかったり、保温が不十分な場合も温度が上がらない。水分が多い場合は容器の蓋を空け、水分を少し飛ばしてから小麦粉を5%程度加え、再度セットする。通気が不十分な場合は通気する時間を長くする。
 うまく発酵している場合は発酵臭がするが、うまく発酵していない場合はマットが酸性になり酢酸の匂いがする。よくアンモニア臭といわれるが、アンモニア臭は発酵がうまくいっている時に発生する。
 再セットしても温度が上がらないときは、そのマットはうまく発酵しなかったマットだ。温度が上がらず酢酸臭がする失敗したマットは、一度水分を飛ばして再セットする。

5.失敗する原因
 一番多い原因は温度が上がらないことだ。これは小さな容器で保温していない場合、100%失敗したマットしかできない。大型の衣装ケースを使う理由は体積辺りの表面積を減らすためだ。プラケースの大や特大の容器では小さすぎる。小さな容器の場合保温しても放熱量が多く発熱がうまくいかず失敗する。
 次に多いのは水分が多いために嫌気性になってしまい、発酵がうまくいかなくなってしまうことが原因だ。通常の粉砕されたマットを使用した場合は水分量50%程度を守ればあまり問題ないが、微粒子のマットを使った場合は少し水分が多いだけで通気が阻害され嫌気性発酵になってしまう。発酵マットを作成するときは普通の粉砕マットを使い、微粒子の発酵マットが必要になった場合は、発酵が終わったマットを微粒子にしよう。

 発酵マット作成時に成功するか失敗するかは、いかにうまく温度を上げるかにかかっている。温度がうまく上がれば好気性発酵が進んでいることになるし、水分量も問題ないはずだ。後はなるべく放熱量を少なくするため、断熱材を使ったり加温したりすることだ。なお、朽木が物理的に発酵するのに必要な期間は温度が65度で1週間、60度で2週間だ。

野外作成編

 野外で発酵マットを作成することの利点は、大容量のマットを一度に作成できることだ。容量が多ければ放熱量より発熱量が多くなり、保温も断熱も考えなくて良い。また、匂いも気にしなくてもいいので、楽に作成できる。堆肥を作るわけではないので、雨除けと風除けはあったほうが良い。
 野外で発酵マットを作成する際に気をつけなくてはならないのは、温度が下がってきたときに色々な生物の格好の棲家になることで、小さいものではダニ類、昆虫ではジバチ類やハエの発生、発酵マットが古くなるとミミズやケラ、カブトムシの幼虫などが棲家にするようになる。地面に直接マットを作成した場合には、モグラが巣を作っていることもある。野外で発酵マットを作成する時は、他の生物が進入しないように処置をする必要がある。

1.作成
 必要なものは基材となるマットだ。広葉樹ならば何を使ってもいいが、できればクヌギ、コナラが扱いやすい。量は1,000リットル以上用意し、小麦粉なども必要量用意する。量が多い場合はふすまの方が経済的かもしれない。
 最初にマットと小麦粉を混ぜることから始めるが、機械がない場合は全て自分の手で行わなくてはならない。ひたすらがんばるのが一番だが、容量が多い場合はマット、小麦粉、マット、小麦粉と重ねていって、最後に必要な水分を徐々に加えていっても良い。この時加水しすぎないように、時間をかけて行ったほうが良い。
 発酵が始まるとマットから湯気が立ち上るようになる。保温のためマットの表面にむしろなどをかけておいても良い。数日たって試しに手を突っ込んでみよう。熱くて手は長く入れられないはずだが、温度が上がっていない場合は何らかの処置が必要になる。多くの場合は水分量が少なくなり、発酵がとまっていることが多い。このときは加水するが、徐々に行い水分過多にならないようにする。大容量のマットを作成する場合は、失敗できないので毎日状況を確認した方が良い。
 最初にセットしてから1週間たったらマットを攪拌する。スコップでマットを崩しながら十分に空気に触れるように攪拌しよう。真夏にこれを行うとかなりの重労働だ。よく冷えたビールを冷蔵庫に入れて、終わった後の楽しい時間を思いながら単純作業を続けていく。このときに水分量の調整を行い、乾いている場合は加水しながら攪拌する。
 最初に攪拌した1週間後にまた、同じ作業を行う。そしてもう一回1週間後に同じことを繰り返す。4週間後には発酵マットの完成だ。

2.発酵マットの有効期間
 大容量の発酵マットを作成した場合、発酵マットを早めに使わないと、劣化したマットになってしまう。4週間でクワガタのエサとして使えるマットになっているが、これで発酵が終わったわけではなく、その後も発酵がずっと続いている。マットの発酵が続くと最後は土になってしまう。クワガタのエサとして使用できる期間は作成終了後1月程度だ。この間に瓶詰めなどを行いエサとして使用するが、エサとして使用できる期間も決まっていて、普通は6月程度だ、これ以後は劣化が進んだ状態を好むマルバネやネブトのエサとして使えるが、普通のクワガタのエサとしては適した状態ではない。
 よく乾燥して保管するとか、冷蔵庫で保管するなどと書いてあるものもあるが、生物が作った生成物をこんなことで保管できるわけはないので、作成したマットはすぐに使ってしまうこと。

 野外でマットを作成する利点は大容量のマットを作成できることだ。容量が大きければ発熱も順調に行われ失敗はあまりない。また、大きな容量で作ったマットのほうが品質が良い事が多い。庭があって雨よけ、風よけがある場合はぜひ野外で作成しよう。容量が多すぎてあまってしまう場合は引き取りますので、御相談ください。


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