国産蝶類標本写真館
ミナミアカシジミ
Japonica onoi mizobei

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広島県産 ♂表面 |
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広島県産 ♂裏面 |
分布:冠高原周辺の中国山地。
生態:成虫は6月下旬から発生し,7月中旬には姿を消す。冠高原のゼフィルス類のうち,最も発生が早い。
成虫の活動は緩慢で,アカシジミのような目立った黄昏飛翔は観察されていない。産卵はカシワの一年枝に数卵まとめて産卵し,体毛やゴミなどをなすりつけて卵を隠すが,アカシジミに比べて作業が雑であるため,ほとんどむき出しになっている卵塊も多い。産卵された卵はそのまま秋・冬を越し,翌春にカシワの芽吹きと共にふ化し,6月上旬にはカシワの葉裏で蛹化する。
食草:カシワ。
1990年に北海道のカシワ林に生息するアカシジミが,日本各地の雑木林に広く分布するアカシジミとは違う別種のキタアカシジミであるとされ、その後の調査の結果,広島県冠高原にキタアカシジミが生息していることが報告された。これは既知のキタアカシジミの産地から飛び離れた産地であり,形態の違いもあることから,キタアカシジミ冠高原亜種として記載された。
しかし,その後の研究の結果,遺伝的な面での違いもあり,キタアカシジミとも違った種ではないかと考えられるようになった。現在では,キタアカシジミ冠高原亜種はミナミアカシジミと呼ばれることが多く,別種として取り扱われることも多い。
アカシジミやキタアカシジミに比べて大型。キタアカシジミに比べると,成虫の翅の橙色味が強く,アカシジミと区別がつかない個体もいる。終齢幼虫では,キタアカシジミやミナミアカシジミの腹節気門部には褐色斑があり,アカシジミにはないことである程度区別できる。
ミナミアカシジミは♂交尾器のadeagusの2個のcarina
penisのうち,根元に近いものが細い三角形の突起となり,先端が鋭く尖り,carina自体がずいぶんaedeagusの先端近くに位置をずらしていることから,キタアカシジミやアカシジミと区別ができ,現在のところこの点以外に確実な区別点はない。
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