ハチジョウノコギリクワガタ
Prosopocoilus hachijoensis
分布：八丈島
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形態：♂♀共に黒色で光沢は強い。ノコギリクワガタと比較すると体がより小型で太短い。♂♀とも脚が短く、特に符節はノコギリクワガタより短く、2/3〜3/4程度。大型の個体はきわめて少なく、原歯型がほとんど。
生態：成虫はほとんど飛翔することはなく、移動は歩行が主体になる。活動時間帯は夜間で、日中は林内の倒木などの下で見られる。倒木の下などを占有する習性があるようで、大型の♂個体がいい場所の倒木下を占有して、産卵場所を探しに来た♀個体と交尾するようだ。活動期のピークは５月から６月で、７月くらいまで見ることができる。活動期の成虫はほとんど何も食べないようで、樹液にはあまり集まらない。また、飛翔しない習性のため、灯火に集まることもない。
幼虫は倒木や立ち枯れの根部などの湿度が高い地中部分で見ることができる。軟らかい木質部には穿孔するが、硬めの木質部では土中から木質部を食べている。土中の有機質でも成長できるようで、朽ち木などがない土中からも発見できる。新成虫は盛夏から晩夏に羽化し、翌年の活動期まで蛹室で休眠する。他のノコギリクワガタの仲間では初夏に羽化した新成虫は盛夏から晩夏に活動を開始する個体が多いが、ハチジョウノコギリクワガタは飼育下でも盛夏から晩夏に羽化し、越冬後に活動を開始する。
高温と乾燥に注意すれば飼育は簡単で、累代飼育は比較的簡単だ。飼育方法はこちら（
飼育方法ハチジョウノコギリクワガタ）を参考にしてください。
伊豆諸島に最南端の有人島は青ヶ島になるが、八丈島は青ヶ島から約70km北上した島。それでも東京から300km離れた伊豆諸島南部の島。人口は結構多く、約１万人ほどが住んでいる。東京からは高速船も運航されているし、ジェット機も飛んでいる。八丈島までのアクセスは思ったより便利で、宿泊施設も多い。
ハチジョウノコギリクワガタは伊豆諸島南部の八丈島に分布するノコギリクワガタの仲間で、当初はノコギリクワガタの亜種とされていたが、現在では独立種とされている。八丈島で独特の進化をしたクワガタのようで、体色は黒色の個体がほとんどで、まれに赤みがかかる個体が見られる。大歯形が出にくい種類のようで、大顎は体が大きくなっても短く、ノコギリクワガタのような大歯型は数頭しか知られていない。ノコギリクワガタは飛翔性が高くクワガタの中でも良く飛ぶ方だが、ハチジョウノコギリクワガタは全く飛翔しない変なクワガタで、移動や交尾、産卵は歩行が主体になる。発生期のピークも５月下旬から６月上旬と他のノコギリクワガタと全く異なる。伊豆諸島北部で個体数が多くなる盛夏にはほとんど見られなくなる。
以前の発生数は多かったが最近では少なくなっているようだ。夜間に活動する種で、最盛期には夜間路上を歩行している個体も多く見られる。日中は倒木などの下に隠れているため、樹林内の材を起こすと隠れている個体を見ることができる。幼虫は切り株の地下部など湿度が高い部分に見られる。幼虫が好む部分は他のノコギリクワガタの仲間とほとんど同じだが、羽化から活動開始の時期は他のノコギリクワガタと異なり、晩夏から秋に新成虫が羽化し、越冬した新成虫は翌年の５月頃から一斉に活動を開始する。まれに初夏に羽化した個体が活動することがあるが、羽化した当年に活動する個体はほとんど見られない。大型個体は５月上旬に多いと言われるが、これも他のノコギリクワガタと比べると逆、ノコギリクワガタは発生からしばらくたってからの方が大型個体が多くなる。日本のノコギリクワガタの仲間では謎が多い種類だ。
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