クロシマノコギリクワガタ
Prosopocoilus inclinatus kuroshimaensis
分布：黒島
形態：原名亜種と比べると、光沢がやや強く、特に上翅は強い。大腮は短く、湾曲が強く、足が細い。
生態：鹿児島県の離島、黒島に分布するノコギリクワガタの亜種になる。黒島のノコギリクワガタは九州南部離島産のノコギリクワガタの中では最もはっきりした特徴があり、原亜種との違いは早くから指摘されていた。ミシマイオウノコギリクワガタ、クチノエラブノコギリクワガタと共に近年整理されて新しく亜種として記載された。
大顎の湾曲が強く、躰は赤みがかかり艶も強いため他の亜種との区別は付きやすい。活動期の個体数は多く、生態はノコギリクワガタと同様で樹液に集まり、灯火にも良く集まる。年によって多少異なるが、発生のピークは盛夏になる。新成虫は夏から秋に羽化し、そのまま翌年の初夏まで越冬するが、初夏までに羽化した個体はその年に活動する個体もいるようだ。
高温と乾燥に注意すれば飼育は簡単で、飼育で大型個体を羽化させることも比較的簡単だ。飼育方法はこちら（
飼育方法ノコギリクワガタ）を参考にしてください。
黒島は鹿児島県の南に位置する周囲約25kmの小さな島だ。小さいと言っても三島村の中では一番大きい島で、200人ほどが住んでいる。三島村の３島は黒島、硫黄島、竹島で構成されているが、硫黄島、竹島と黒島は全く環境が異なり、標高622mの櫓岳周辺を初め、シイを中心とした自然林が多く残っている。島ができた歴史は全く違うようで、黒島は宇治群島や草垣群島などと共に旧期琉球火山岩帯に属していて、島ができたのは硫黄島、竹島よりもっと古いようだ。黒島は竹ばかりの硫黄島、竹島とは全く印象が異なり、小さな屋久島と言った印象がある。伊豆諸島でも島によって印象が全く違うが、三島村の３島はもっと受けるインパクトが違う。黒島に行くには鹿児島本港から船で約６時間、毎日出港しているわけではないので、行く場合には調べてから行くこと。鹿児島の近くに住んでいれば別だが、関東あたりから行くとなると２日かかりになってしまう。旅館や民宿はそれなりにあるので不便はないが、往復するだけで最低４日かかるのがネックだろうか。
クロシマノコギリクワガタは太い大顎、艶のあるからだが特徴で、赤みがかかる個体が多い。本土のノコギリクワガタや周辺の離島の個体群と比較して独特の特徴があることから、現在はノコギリクワガタの亜種とされている。鹿児島県南部の離島の個体群の中では最も特徴がはっきりしていて、九州から九州南部離島産のノコギリクワガタの中では大顎が太く、湾曲が強い。習性は他の亜種と全く同じで、樹液や灯火に集まる。黒島はシイを中心とした自然林が多く残っているためか、個体数は非常に多く、自然林の周辺にトラップをかけると多数の個体を見ることができる。九州南部離島の亜種の中では最も個体数が多く簡単に見ることができる。個体数が多いため最盛期はわかりにくいが、梅雨明け後から７月中下旬にかけて最も個体数が多くなるようだ。中型から小型の個体は多く見ることができるが、60mm以上の大型個体はあまり見られない。最大の個体で70mm程度になる。
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