外国産コガネムシ飼育方法
マレーテナガコガネ

飼育難易度 |
★★★★ |
★やさしい〜★★★★★難しい |
飼育のポイント |
高温に注意。孵化率が悪いことがある。 |
成虫の飼育 |
転倒すると弱るので、起き上がれるように足がかりを入れる。 |
成虫飼育温度 |
20度前半、乾燥には弱いが、低温には強い。 |
成虫の寿命 |
活動開始後約3月。 |
産卵部位 |
マット内。 |
ペアリング |
雌雄同居で問題ない。雌単独で産卵させる場合は定期的に交尾させる。 |
産卵数 |
30〜80卵。新成虫で100卵以上。 |
幼虫飼育 |
カブト用マットで十分に成長する。 |
幼虫の管理温度 |
できれば夏季20〜25度、冬季は15度を切らないように。 |
幼虫飼育容器 |
大型の個体で.1.5〜2.0リットル程度。 |
幼虫期間 |
20度前半の恒温で飼育するとほとんどの個体は約1年半。 |
蛹化時の注意 |
蛹室を作りはじめたら高温、乾燥に注意。 |
羽化後活動までの期間 |
羽化後約3〜4月程度で蛹室を脱出する。 |
活動開始後、産卵までの期間 |
活動開始後すぐに交尾、産卵可能となる。 |
成虫の入手
マレー半島に分布する大型のテナガコガネの仲間だ。生息地はキャメロンハイランドのような標高が高い山地帯で、夜間灯火に飛来する個体が採集されている。あまり個体数は多い種類ではないが、マレーテナガコガネの場合は他に分布するテナガコガネより採集される期間が長いようだ。
成虫は丸2年で1サイクルの個体が多いようで、3年かかるものも結構いるようだ。飼育すると丸2年の個体が多い。マレー半島産のマレーテナガコガネは、入荷する個体数は少ないものの毎年入荷している。野外産の雌は当たりはずれが大きく、産卵する個体は80以上産卵するが、全く産卵しないで死亡してしまう個体もある。飼育は一部で行われているが、多数の個体が流通するほど飼育されていないためか、飼育個体はあまり見かけない。飼育された新成虫が入手できるならば、当たりはずれがほとんどないため飼育個体のほうが良い。野外品は時折販売されているため、信頼できる専門店や通販店に問い合わせてみると良い。
産卵セット
成虫は活動を開始すれば交尾、産卵が可能となっている。雄は雌を攻撃することはないため、雌雄同居で問題ない。交尾回数が多いほうが産卵数が多いようで、特別な理由がなければ最後まで雌雄同居で飼育したほうが良い。成虫は思ったよりも大食漢なので、エサ切れには十分注意する。
産卵容器は大きめの容器が良く、プラケースならば特大、あるいは衣装ケースでも良い。ケースにマットを7分目まで入れ、マットの表面にエサ台と転倒しても起き上がれるように木片や樹皮などとエサ台を入れておく。よく活動する種類なので、マットの表面積は広いほうが良い。マットはカブトムシのように底の部分を押し固め、中層はやや強め、上層は緩めにつめる。過湿にならない程度の、水分はやや多めの状態にしておく。マットの底面が黄色くなるようだと湿度が多いためにマットが腐っている状態になるが、この状態だと産卵しないためマットを交換する。
産卵に使うマットはカブトムシ用のマットでも良いが、粒子が細かい方が産卵数が多い。カブトムシ用マットを使用する場合は軽くミキサーなどで細かくしてやったほうが良い。カブトムシ用マットでは孵化率が極端に悪くなることがあるため、テナガコガネ用に調整したマットを使用した方が良い。
卵はカブトムシと違いマットの中層あたりにばら撒くように産み付けられている。幼虫になってから回収しても良いが、幼虫で回収する場合は20日程度で新しい産卵セットを作り親を移し変える。卵で回収する場合は10日毎にマットを大きな衣装ケース等に空け、マットを少しずつ崩しながら卵を回収する。回収した卵はマットに軽く埋めるような状態で保管しておくとほとんどが孵化する。産卵された直後の卵はラグビーボール状で、孵化直前には球形にふくらむ。卵は大きく直径5mm程度のため見逃すことはほとんどない。卵で回収しても孵化率はよく、傷つけない限り孵化する。
産卵時に問題になるのは、孵化率が異常に悪くなることだ。ひどい時は孵化率ゼロなどという時がある。原因で考えられるのはあくまで推測だが二つで、一つはマットの問題で、マットが合わないために孵化しないことだ。マットを暴かずに幼虫が孵化するまでそのままにしておくと孵化率が上がると言われているが、採卵しなければ孵化率はわからないはずだし、健全な卵は産卵直後の卵を採卵しても傷つけない限り孵化する。テナガコガネの産卵用マットの作成方法は飼育テクニックを参照してください。
もう一つの原因は雄の状態が良くないことだ。コガネムシやカブトムシでよく見られることだが、雌雄同居の個体は産卵数も多いし孵化率も良い。雌雄別にした場合は産卵数が落ちてくるし、孵化しない卵が多くなる。採卵して卵を管理するのは、大型のカブト、コガネに限られるが、孵化率が悪い場合は雄を同居させて交尾回数を増やすと孵化率が上がることが多い。また、雌雄同居させていても孵化率が悪い場合は、元気の良い雄と交換すると孵化率が良くなる。
孵化率が悪くなる原因は雄の状態が良くないために、交尾をしても精子がうまく雌に受け渡されていないため孵化率が悪くなっている場合と、マットが安定していないために、産卵された卵が腐ってしまうことがあるようだ。カブトやコガネムシでも見られることだが、羽化してから時間がたった雄と、新成虫の雌をペアリングした場合に孵化率が悪くなったり、全く孵化しなかったりすることがある。産卵しているにもかかわらず、卵が全く孵化しなかったり、孵化率が悪い場合は雄を交換するかマットをテナガコガネにあったマットに交換するとうまくいくことが多い。羽化してから時間がたった個体をペアリングする際や、野外産の個体で産卵させる際など、交換する雄がいない場合は2〜3日おきに同居と別居を繰り返すなど、雄の状態をいい状態に保つ注意が必要だ。
幼虫飼育
産卵された卵は約30日程で孵化する。孵化当初の幼虫は1cm程度の大きさだが、体が固まるとマット内にもぐっていく。初令幼虫は500ccの容器に回収する。初令、2令の期間はそれぞれ30日程度だ。
幼虫は最初は500cc程度の容器に、2令の後期あたりに1.5〜2リットルの容器に入れ替えてやる。
幼虫の食欲は旺盛で、エサのマットは小型の容器だとすぐに糞だらけとなってしまう。小型の容器で飼育している場合は頻繁に確認して、糞が多くなっているようだったらエサのマットを交換する。幼虫はクワガタの幼虫のように坑道は作らず、一定の空間を作りその中からマットを食べている。幼虫の習性はマルバネクワガタとよく似ている。
マットの交換は全交換ではなく半分程度交換したほうがいい。テナガコガネの糞はカブトムシのようにころころした粒状ではなく、マットと見分けがつかない。食べたマットは粒子が細かくなっているため、マットの上部が当初のマットより細かくなっていたら交換時期だ。
交換の時期がわかりにくい種だが、1.5〜2リットルの容器を使用した場合は、終令の初期は3月毎に、終令中期以降は4〜5月おきに半分ずつ交換する。
幼虫に与えるマットはカブトムシ用マットでかまわない。幼虫は終令幼虫の期間が長く、終令幼虫で1年と少しすごす。
幼虫は低温には強いが、冬季の間は幼虫が活動できる温度で保管していたほうがいい。夏季はできれば25度以下、冬季は15〜20度程度が良い様だ。
終令幼虫は十分に成熟すると、蛹室を作る場所を探すためマットの中やマット上を徘徊するようになる。この時期になると容器の側面や底面をかじり、プリンカップなどのやわらかい容器を使用していると穴を開けてしまう。ブロー容器でも穴を開けてしまうことがあるため、終令末期になったら硬い容器に移したほうが良い。
容器をかじるのは本来の蛹化場所のように洞の内部の木質部をかじって蛹室を作るためで、終令末期になったら加水した材を入れておくとその中に蛹室を作る。材がなくてもそのままマットの中にもぐって蛹室を作ることが多いが、容器の底に黒土か粒子の細かいマットを固く押し込んでやると境目あたりで蛹室を作る。蛹室は水平から斜め45度位に傾いた卵形の蛹室を作るが、容器の高さが足りないとうまく蛹室を作れない場合もあるようで、容器は10cm以上の高さがある容器が良い。
材を入れないと蛹室は容器の側面に作ることが多く観察しやすいが、テナガコガネはやや多湿の環境を好むためか、マットが劣化しやすい。マットが劣化したまま蛹室を作ると羽化不全になることが多いため、蛹化の時期になる前に、新しいマットと交換しておく。マットの劣化がよく分からない場合や、蛹化の前兆が分からない場合は材を埋め込んでおくことにより、蛹化する場所を幼虫が自分で選び羽化不全をかなりの確率で防ぐことができる。
通常の幼虫はマットの中で空間を作って、空間の中からマットを食べている。この空間は蛹室とよく似ているため間違えやすい。蛹室だと思ってマットをいつまでも交換しないと、マットが劣化をしていって、本当の蛹室を作る頃にはマットから水分が出て羽化不全を起こしやすい。幼虫がいる空間と、蛹室とはよく似ているが、蛹化するための蛹室は壁が固く塗り固められている。マットを幼虫がいる空間の上まで少しずつどけていくと、蛹室の場合は固い壁に当たる。蛹室ではなく生活のための空間ならば、空間に穴があいて幼虫の姿が見えるはずだ。
蛹化から羽化
蛹室を作った幼虫はその中で約1月以上静止し蛹になる。蛹室は少し斜めになった卵型だ。蛹は約1月強で成虫が羽化する。前蛹から蛹の時期はあまり高温にならないようしないと羽化不全になりやすい。過湿には強いようだが、容器の底面が黄色く変色するような状態にならないように湿度を調整する。過湿の状態になっていた場合は、容器のふたを開けるなどして調整する。
前蛹から羽化までは暗くて静かな場所に保管しておくこと。無事に羽化した成虫は蛹室で3〜4月あまり静止し、十分体が固まり成熟してから活動を開始する。マレーテナガコガネは、他のテナガコガネより休眠期間が短い。休眠中の新成虫は乾燥に注意して、暗く静かな場所に保管する。温度はあまり上げずに20度程度で保管するとうまくいくことが多い。
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