国産甲虫標本写真館
ツシマヒラタシデムシ本州亜種
Eusilph jakowlewi similator Shibata, 1969

三重県名張市産
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分布:本州
体長:17〜23mm
雌雄の区別;♂は前符節が広く,翅端がまるい.♀は前符節が細く,翅端が突出する。
生態:ツシマヒラタシデムシの本州に分布する亜種。本州産は触角がより短大、第7節はより幅広く上翅の縦隆線はより強く明瞭で翅端に達する点で区別される。オオヒラタシデムシも同様な環境に多く生息しているが、上面の光沢、触角先端部4〜5節の形状、上翅の側部の縦隆条の違いなどで識別できる。ある程度昆虫を見慣れた方なら、両種を並べて見ると差は歴然としている。
オオヒラタシデムシより明るい環境を好むようで、樹林内ではほとんど採集できない。明るい草地のような環境を好むようで、現在では大きな河川の河川敷にそって分布しているようだ。
以前は淀川水系が主な分布地だったが、現在では滋賀県の琵琶湖にそそぐ愛知川、野洲川、安曇川、琵琶湖南側の南湖の湖岸、和歌山県の紀ノ川、三重県の鈴鹿川などの河川敷で採集されている。
人気がある昆虫は言えない仲間で、ヒラタシデムシの仲間はその中でも特に人気がない。ツシマヒラタシデムシはそんな昆虫の仲間なのであまり見向きもされないのかもしれない。詳しく調べられていないし、調べる人もいないため詳しい分布はよくわかっていないのが現状だ。もしかしたら本当は関西から東海地方の西部まで広く分布しているのかもしれない。関西圏にお住まいの方はシデムシと言って毛嫌いせずに身近な昆虫を調査してほしい。ツシマヒラタシデムシは系統から見ると、古い形質を持った北海道のヒラタシデムシやホソヒラタシデムシなどのように近い仲間なのかもしれない。トラップで簡単に調査できるので、ぜひ調査していただきたい。この仲間の個体数が多くなるのは盛夏から晩夏にかけて、すなわち8月から9月だ。
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