シカクワガタの世界
シカクワガタの分布
シカクワガタの仲間は東南アジアの大陸側のみに分布し、フィリピンなどの島々には分布していない。
シカクワガタと呼ばれているクワガタには4属あり、系統としてはアマミシカクワガタ、スペキオススシカクワガタなどのグループと、ザウテルシカクワガタ、オーベルチュールクロツヤシカクワガタなどの体にツヤがある系統に分かれるようだ。違う系統同士は同じ地域に生息していることがあるが、同じ系統は同じ地域に分布する事はない。
台湾に分布するザウテルシカクワガタはチュウゴククロツヤシカクワガタの亜種とされている。形はほとんど同じで、生態もほとんど同じのため、亜種の扱いに疑問はないが、オーベルチュールクロツヤシカクワガタまで含めて一つの種なのかもしれない。
もう一つのグループのアマミシカクワガタ、タイワンシカクワガタなどの系統は、人によってはタイワンシカクワガタ、チュウゴクシカクワガタ、スペキオススシカクワガタを同一種とする事もあり、分類は確定していない。この3種はお互いによく似た形をしていて、シルエットだけで見ればそっくりに見える。スペキオススシカクワガタは黄色い紋があるが、体色や足の色は分類上の決め手にならないため、アマミシカクワガタからディディエールシカクワガタまで、一つの大きな種類なのかもしれない。
ここではザウテルシカクワガタをチュウゴククロツヤシカクワガタの亜種として、チュウゴクシカクワガタをタイワンシカクワガタの亜種として、そのほかは全て独立種としている。
オオシカクワガタ属
○ ウエストウッディーシカクワガタ
ベトナムシカクワガタ属
○ ベトナムシカクワガタ
クロツヤシカクワガタ属
○ ザウテルシカクワガタ
(チュウゴククロツヤシカクワガタの亜種)
○ チュウゴククロツヤシカクワガタ
○ オーベルチュールクロツヤシカクワガタ
シカクワガタ属
○ アマミシカクワガタ
○ タイワンシカクワガタ
○ チュウゴクシカクワガタ
(タイワンシカクワガタの亜種)
○ スペキオシシシカクワガタ
○ ディディエールシカクワガタ
シカクワガタ分布図
種類別解説
ウエストウッディーシカクワガタ |
Rhaetus westwoodi westwoodi |
インド、ネパール |
|
Rhaetus westwoodi kazumiae |
ミャンマー |
シカクワガタの仲間では最も大型になる種で、100mm近くなる。かなり珍しい種で標本でもあまり見かける種ではないため、生体ではほとんど入ってきていない。いくつかの飼育の成功例も知られていて、決して累代が不可能な種ではないようだ。
標高が高く温度が低い地域に分布していて、高温では飼育できないようだ。また、羽化してから半年以上休眠するようだ。飼育してみたい種のNO.1だ。
飼育したことがないため、この先の解説はありません。
ベトナムシカクワガタ |
Weinreichius perroti |
ベトナム |
ベトナム南部に分布するシカクワガタの仲間だが、まとまって採集されたことがないため標本でもあまり入ってきていない。少し変わったシカクワガタで、フタマタクワガタと中間的な体型をしている。
飼育したことがないため、この先の解説はありません。
台湾のザウテルシカクワガタと同じ種とされている。いくつかの産地が知られていて、当初思われていたよりも分布は広いようだ。ザウテルシカクワガタより大型になるようで、大型の個体は60mmを越える。
チュウゴククロツヤシカクワガタの亜種とされているが、ここでは別に紹介した。台湾の山地に分布していて、特定の木に集まるようだ。灯火には飛来しないようで、まとまって採集されることはない。
近年になってベトナム産の生体が入荷するようになった。発生時期が少しずれていたようで、ベトナムでは6月が発生時期になる。チュウゴククロツヤシカクワガタよりやや小型のようで、60mm程度が最大個体と思われる。
♂♀とも体にはツヤがあって綺麗だ。飼育は成功例もあるが、気むずかしい面もあるようで、全く産卵しない個体も多い。
国内に分布する唯一のシカクワガタの仲間がこの種になる。沖縄本島や八重山の島を越えて、奄美群島だけに分布している。奄美群島は面白い動植物が色々と生息しているが、この種もその中の一つになる。
黒一色の体を持っているが、大型の♂は大顎が発達し鹿の角のようになる。野外では圧倒的に小型の個体が多く、大型の個体は少ない。タイワンシカクワガタより小型で、大型の♂でも50mm止まりだ。
外国に分布するシカクワガタの仲間では最もお馴染みの種になる。古くから標本では出回っていて、生体が入ってきたのも一番早かった。一番目にすることが多いがスタンダードなシカクワガタだが、黒いボディーにアマミシカにないような角ばって立体的な大顎を持ち、格好いいクワガタムシだと思う。最大の個体は60mm程度になる。
近年になって中国がら入るようになったシカクワガタ。足の付け根が赤くお洒落なシカクワガタ。体の色も少し褐色味を帯びる。タイワンシカクワガタの亜種となっていて、シルエットはそっくりだ。この亜種も最大個体は60mm程度だ。
タイワンシカクワガタより大型になり、鹿の角のような大顎をもつシカクワガタ。大きく左右に張り出した大顎にはいくつもの突起があり、複雑な構造になっているが、挟まれても見た目ほど痛くない。上翅や前胸背板が黄色から赤の模様をもち、亜種によって色や紋の形が少しずつ違ってくる。タイ産が輸入されることが多く、ベトナム産がそれに次ぐ。そのほかの亜種は、生体ではほとんど入ってきていない。飼育は難しくないが、多産しないことが多い。最大の個体は70mmを越える。
マレーシア特産のクワガタで、以前はアカミトゲシカクワガタと呼ばれていた。♂の上翅の斑紋は大きさや色に変化があり、足の付け根は黄褐色になる。♀は特徴のない体つきをしているが、足の付け根が赤いことと、前胸背側縁部がギザギザになることで区別できる。この属の中では最も大型になり、最大の個体では90mm近くになるようだ。
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